資産・負債・純資産の基本
貸借対照表を構成する資産・負債・純資産の意味を学びます。代表的な勘定科目を三つに分類し、資産=負債+純資産という基本関係を使って会社の財政状態を読み取ります。
この講で分かるようになること
代表的な項目を資産・負債・純資産に分類し、それぞれの意味を説明できる。
- 資産、負債、純資産の違いを、会社の立場から説明できる。
- 貸借対照表の基本式を使って純資産を求められる。
- 現金の増加を、その原因である負債または純資産の増加と区別できる。
前提知識
- 特別な前提知識は必要ありません。会社と所有者を分けて考える準備があれば学習できます。
要点
- 資産は会社が保有する財産や受取権利です。
- 負債は会社が将来支払う義務です。
- 純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産です。
- 資産=負債+純資産という関係が常に成り立ちます。
- 項目名ではなく、会社にとっての意味から分類します。
判断のルール
- 会社が保有する財産や受取権利は資産に分類する。
- 会社が将来支払う義務は負債に分類する。
- 純資産は資産から負債を差し引いて求める。
- 現金が増えた事実と、その資金をどう調達したかを分けて考える。
例題
例題1代表項目の分類
現金、売掛金、借入金、買掛金、資本金を、資産・負債・純資産に分類しなさい。
答え資産:現金、売掛金。負債:借入金、買掛金。純資産:資本金。
考え方保有する価値か、支払義務か、所有者側の持分かという順に意味を確認します。
確かめ資産と負債を混同せず、会社の立場から分類できているか確認します。
例題2純資産を求める
決算日における資産の合計が900,000円、負債の合計が340,000円である。純資産はいくらですか。
答え純資産は、900,000円-340,000円=560,000円です。
考え方純資産=資産-負債の式を使います。
確かめ負債340,000円と純資産560,000円の合計が資産900,000円と一致します。
例題3借入れ後の財政状態
資産600,000円、負債200,000円の会社が、銀行から100,000円を借りて普通預金に入金した。借入れ直後の資産、負債、純資産を求めなさい。
答え資産700,000円、負債300,000円、純資産400,000円です。
考え方借入れは資産と負債を同額増やしますが、純資産を増やしません。
確かめ700,000円=300,000円+400,000円となり、基本式が成立します。
よくある間違い
現金だけを資産と考える。
売掛金のような受取権利や、商品・備品のような事業用財産も資産です。
借りた現金を負債に分類する。
現金は資産、返済義務である借入金は負債です。二つを別々に認識します。
資産と純資産を同じものと考える。
純資産は資産から負債を差し引いた正味額です。
所有者の個人財産を会社の資産に含める。
簿記では会社と所有者を分け、会社に属する項目だけを記録します。
この講の用語
- 資産しさん
- 会社が保有する現金、商品、備品や、将来金銭を受け取る権利など。
- 負債ふさい
- 借入金や買掛金など、会社が将来支払う義務。
- 純資産じゅんしさん
- 資産から負債を差し引いた、会社の正味の財産。3級の基礎概念では資本とも表現される。
- 貸借対照表たいしゃくたいしょうひょう
- 一定時点の資産、負債、純資産を示す財務諸表。
章立て
- 0:00講義の目的会社の財政状態を理解する三つの基本区分を確認します。
- 0:16財政状態を三つに分ける何を持つか、どう調達したかという二つの質問から整理します。
- 1:04資産会社が持つ財産と将来受け取る権利を学びます。
- 1:46負債と純資産将来支払う義務と会社の正味の財産を区別します。
- 2:26貸借対照表の基本式資産=負債+純資産と、純資産=資産-負債を確認します。
- 2:51例題1 勘定科目の分類現金、売掛金、借入金、買掛金、資本金を分類します。
- 3:30例題2 純資産の計算資産90万円と負債34万円から純資産56万円を求めます。
- 3:57例題3 借入れ前後の比較借入れで資産と負債が同額増え、純資産が変わらないことを確認します。
- 4:35まとめ三つの意味と基本式を一枚の記憶地図で整理します。
講義の書き起こし
無料公開している講義は、読んで確認できるように全文を載せています。
女性講師今回は、資産・負債・純資産の基本を学びます。この三つは、会社の財政状態を理解するための出発点です。
男性講師会社の財政状態というと、まず現金や預金がいくらあるかを見ればよいのでしょうか。
女性講師現金や預金だけでは十分ではありません。会社が何を持っているかに加えて、その財産を借入れで調達したのか、所有者の出資や利益で形成したのかも確認します。
男性講師同じ50万円の預金でも、銀行から借りた50万円と、所有者が出資した50万円では意味が違うのですね。
女性講師そのとおりです。会社の財政状態は、資産、負債、純資産という三つの区分で整理します。資産は会社が保有する財産や受け取る権利、負債は将来支払う義務、純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産です。
男性講師持っているもの、返す義務、そして最後に残る正味の部分、と覚えると整理しやすそうです。
女性講師まず資産です。資産には、会社が持つ現金や商品だけでなく、将来代金を受け取る権利も含まれます。形があるかどうかではなく、会社にとって価値があるかで考えます。
男性講師代表例は、現金、普通預金、売掛金、商品、備品ですね。売掛金は現金ではありませんが、将来代金を受け取る権利なので資産です。
女性講師はい。また、銀行から借りた現金も、会社が現在保有していれば現金という資産です。ただし同時に、返済義務である借入金という負債も生じます。
男性講師では、負債は会社が将来支払わなければならない義務ですね。
女性講師そのとおりです。銀行から借りた借入金、商品を掛けで仕入れたときの買掛金、まだ支払っていない未払金などが負債です。
男性講師純資産は、会社が持っている現金だけを表すのではないのですか。
女性講師純資産は現金残高ではありません。会社の資産全体から負債全体を差し引いた正味の部分です。株式会社では、資本金や繰越利益剰余金などが含まれます。
男性講師三つの関係は、どのような式で表せますか。
女性講師基本式は、資産イコール負債プラス純資産です。形を変えると、純資産イコール資産マイナス負債となります。会社が持つ資産は、負債と純資産によって支えられていると考えます。
男性講師項目を分類するときは、財産や受取権利か、支払義務か、正味の持分かを順に確認すればよいのですね。
女性講師では例題です。現金、売掛金、借入金、買掛金、資本金を三つに分類しましょう。現金と売掛金は、会社が保有する財産または受取権利なので資産です。
男性講師借入金と買掛金は将来の支払義務なので負債、資本金は所有者から拠出された純資産です。
女性講師名称だけでなく、会社にとって何を意味するかで分類することが大切です。借入れによって得た現金は資産、返済義務である借入金は別に負債として記録します。
男性講師次は計算です。決算日の資産合計が90万円、負債合計が34万円なら、純資産はいくらですか。
女性講師純資産は、資産90万円から負債34万円を差し引いた56万円です。負債34万円と純資産56万円の合計が、資産90万円と一致することも確認できます。
男性講師最後に、資産60万円、負債20万円の会社が、銀行から10万円を借りて普通預金に入金した場合を考えます。
女性講師借入れによって普通預金という資産が10万円増え、借入金という負債も10万円増えます。したがって、借入れ後の資産は70万円、負債は30万円です。
男性講師純資産は、70万円から30万円を引いた40万円です。借入れ前の60万円から20万円を引いた40万円と同じで、借入れだけでは純資産は増えません。
女性講師まとめます。資産は会社が持つ財産や受取権利、負債は将来の支払義務、純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産です。資産イコール負債プラス純資産という関係を必ず確認しましょう。
男性講師項目名ではなく会社にとっての意味から三つに分類し、基本式で検算できれば、この知識ポイントの基本は理解できています。
この講の確認問題
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