貸倒引当金の取崩しと償却債権取立益
この講義では、貸倒引当金を使って売掛金などの貸倒れを処理する基本と、以前に貸し倒れとして処理した債権を後日回収したときの償却債権取立益の仕訳を学びます。貸倒引当金を使う場面と、回収時に収益として処理する場面を区別し、借方・貸方を正確に判断できるようにします。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
引当金を使う貸倒処理と、過年度に貸し倒れた債権の回収を仕訳できる。
- 貸倒損失と貸倒引当金の使い分けの意味を説明できる。
- 過年度に処理済みの債権かどうかで回収時の仕訳が変わることを理解する。
- 金額の一部だけ回収した場合でも正しく仕訳できる。
前提知識
- 貸倒引当金の設定と基本的な考え方
- 売掛金や受取手形などの債権の基本仕訳
- 費用と収益の基本的な区別
ひとつ前の講:貸倒引当金の設定
要点
- 貸倒引当金があるときの貸倒れは、原則として貸倒引当金を取り崩して処理する。
- 貸倒れの処理では、債権を減らし、使った分だけ貸倒引当金を減らす。
- 過年度にすでに貸し倒れとして処理した債権を回収したら、償却債権取立益で処理する。
- 回収額の全額を償却債権取立益として記録する。
- 今回の判断の中心は、その債権がまだ帳簿に残っているか、すでに処理済みかである。
判断のルール
- 貸倒引当金を使う貸倒処理では、借方に貸倒引当金、貸方に売掛金などの債権を記入する。
- 過年度に貸し倒れ処理済みの債権を回収したときは、借方に現金、貸方に償却債権取立益を記入する。
- 一部だけ貸し倒れた場合や一部だけ回収した場合でも、実際の金額でそのまま仕訳する。
- 回収時に売掛金を復活させる処理は、この講義の標準的な扱いでは行わず、償却債権取立益で処理する。
例題
例題1例題1:売掛金の貸倒れを貸倒引当金で処理する
得意先Aに対する売掛金30,000円が回収不能となった。貸倒引当金は設定済みであり、この貸倒れはその範囲内である。仕訳を示しなさい。
答え借方:貸倒引当金 30,000 / 貸方:売掛金 30,000
考え方売掛金は回収不能になったので帳簿から減らします。そのため貸方に売掛金30,000円を記入します。今回は貸倒引当金が設定済みなので、新たな費用ではなく、準備していた貸倒引当金を使います。したがって借方は貸倒引当金30,000円です。
確かめ借方30,000円、貸方30,000円で一致しています。売掛金は減少、貸倒引当金も使用により減少しており、取引内容に合っています。
例題2例題2:過年度に貸し倒れた売掛金を全額回収した
前期に貸倒処理して帳簿から消していた売掛金18,000円について、当期に現金で全額回収した。仕訳を示しなさい。
答え借方:現金 18,000 / 貸方:償却債権取立益 18,000
考え方この売掛金は前期にすでに貸倒処理されており、帳簿上の売掛金としては残っていません。そのため、通常の売掛金回収ではなく、回収できた金額を収益として処理します。現金を受け取っているので借方は現金、貸方は償却債権取立益です。
確かめ借方18,000円、貸方18,000円で一致しています。帳簿にない債権の回収なので、売掛金ではなく償却債権取立益を使っている点が正しい確認ポイントです。
例題3例題3:過年度に貸し倒れた債権を一部回収した
前年度に貸倒処理済みの売掛金50,000円のうち、当期に12,000円を現金で回収した。仕訳を示しなさい。
答え借方:現金 12,000 / 貸方:償却債権取立益 12,000
考え方すでに貸倒処理済みで帳簿に残っていない債権なので、回収額は収益として処理します。今回回収できたのは50,000円のうち12,000円だけですから、実際に受け取った12,000円だけを仕訳します。借方は現金12,000円、貸方は償却債権取立益12,000円です。
確かめ借方12,000円、貸方12,000円で一致しています。全額ではなく回収した一部12,000円のみを処理しているため、金額の扱いも正しいです。
よくある間違い
貸倒引当金があるのに、貸倒損失を使ってしまう。
貸倒れの仕訳で借方と貸方を逆にしてしまう。
すでに処理済みの債権の回収を売掛金の回収として処理してしまう。
償却債権取立益を費用だと思い込んで借方に書いてしまう。
一部回収なのに全額回収として仕訳してしまう。
この講の用語
- 貸倒引当金かしだおれひきあてきん
- 将来起こるかもしれない貸倒れに備えて、あらかじめ見積もって計上しておく金額。貸倒れが実際に起きたときに取り崩して使う。
- 取崩しとりくずし
- すでに計上してある引当金を、実際に必要になったときに減らして使うこと。
- 償却債権取立益しょうきゃくさいけんとりたてえき
- 以前に貸し倒れとして処理し、帳簿から消えていた債権を後日回収したときに計上する収益。
- 貸倒れかしだおれ
- 売掛金などの債権が回収できなくなること。
章立て
- 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
- 0:22中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
- 1:09重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
- 1:44基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
- 2:14判断手順問題を解くときの順番を確認します。
- 2:43例題1基本的な取引を確認します。
- 3:12例題2別の条件で判断を確認します。
- 4:19例題3計算または応用の判断を確認します。
- 5:20よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
- 6:29まとめ重要事項を一枚で整理します。
この講の確認問題
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