株式会社の設立と資本金
株式会社を設立するときに、株式の発行によって受け入れた払込額を資本金として記録する基本を学びます。本講義では、設立時の仕訳を中心に、勘定科目の意味、借方・貸方の位置、金額の確認方法を公式範囲に沿って整理します。
この講で分かるようになること
株式発行による会社設立時の払込額を資本金として仕訳できる。
- 株式会社設立時の取引を個人商店の取引と区別できる。
- 払込額と資本金の関係を説明できる。
- 設立時の基本的な仕訳を金額ミスなく書ける。
前提知識
- 仕訳の基本
- 借方と貸方の意味
- 現金および当座預金の増減の記録
ひとつ前の講:損益計算書と貸借対照表の作成
要点
- 株式会社の設立時に受け入れた払込額は資本金として記録する。
- 払込みを受けた資産が増えるので、借方に現金または当座預金を記入する。
- 資本金は純資産の増加なので、貸方に記入する。
- 仕訳金額は払込額の合計と一致しているか確認する。
判断のルール
- 株式発行による会社設立時は、受け入れた払込額を資本金で処理する。
- 受け入れた資産の勘定科目は、問題文で示された入金先に合わせて選ぶ。
- 借方合計と貸方合計は必ず一致させる。
- 本講では設立時の基本仕訳のみを対象とし、追加の論点は加えない。
例題
例題1例題1 現金で払い込みを受けた設立
株式会社を設立し、株式100株を発行した。1株あたりの払込額は3,000円で、全額を現金で受け入れた。設立時の仕訳を示しなさい。
答え(借)現金 300,000 / (貸)資本金 300,000
考え方払込額は 100株 × 3,000円 = 300,000円です。現金を受け入れているため、資産の増加として借方に現金300,000円を記入します。設立時の払込額は資本金になるため、貸方に資本金300,000円を記入します。
確かめ借方300,000円、貸方300,000円で一致しています。払込額の合計も300,000円で、資本金の金額と一致しています。
例題2例題2 当座預金に払い込みを受けた設立
株式会社を設立し、株式250株を発行した。1株あたりの払込額は2,400円で、払込金は当座預金口座に預け入れられた。設立時の仕訳を示しなさい。
答え(借)当座預金 600,000 / (貸)資本金 600,000
考え方払込額は 250株 × 2,400円 = 600,000円です。入金先が当座預金口座なので、借方は当座預金になります。会社設立時に株式発行で受け入れた金額は資本金として処理するため、貸方は資本金600,000円です。
確かめ250×2,400=600,000と計算できています。借方の当座預金と貸方の資本金が同額なので、仕訳は正しくつり合っています。
例題3例題3 株数が多い場合の基本仕訳
株式会社を設立し、株式800株を発行した。1株あたりの払込額は1,250円で、払込金は現金で受け入れた。設立時の仕訳を示しなさい。
答え(借)現金 1,000,000 / (貸)資本金 1,000,000
考え方払込額は 800株 × 1,250円 = 1,000,000円です。受け入れたのは現金なので、借方は現金1,000,000円です。同額だけ会社の元手が増えるため、貸方は資本金1,000,000円になります。
確かめ800×1,250=1,000,000で計算は正しいです。借方・貸方ともに1,000,000円で一致し、設立時の基本処理に合っています。
よくある間違い
払込額を収益のように考えてしまい、資本金を使わない。
現金や当座預金の増加を貸方に書いてしまう。
株数だけを見て、1株あたりの払込額を掛け忘れる。
借方と貸方の金額が一致しているか確認しない。
設立時の基本論点なのに、範囲外の別勘定を使ってしまう。
この講の用語
- 株式会社かぶしきがいしゃ
- 株式を発行して出資を受け、事業を行う会社の形態です。
- 株式発行かぶしきはっこう
- 会社が株式を出して、出資者から払込みを受けることです。
- 払込額はらいこみがく
- 出資者が会社に実際に払い込んだ金額です。
- 資本金しほんきん
- 会社設立時などに株主から受け入れた出資を表す純資産の勘定科目です。
- 当座預金とうざよきん
- 会社が銀行に預けている預金の一種で、払込みの受入先として用いられることがあります。
章立て
- 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
- 0:24中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
- 1:05重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
- 1:52基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
- 2:10判断手順問題を解くときの順番を確認します。
- 2:38例題1基本的な取引を確認します。
- 3:00例題2別の条件で判断を確認します。
- 3:59例題3計算または応用の判断を確認します。
- 4:59よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
- 5:57まとめ重要事項を一枚で整理します。
講義の書き起こし
無料公開している講義は、読んで確認できるように全文を載せています。
女性講師第87講は、株式会社の設立と資本金です。株式会社を設立して株式を発行し、払込みを受けたときの基本仕訳を、公式範囲にしぼって整理します。到達目標は、払込額を資本金として正しく仕訳できることです。
男性講師設立したときの最初の仕訳だけを学ぶ感じですか。
女性講師はい。導入として、株式会社は株式を発行して出資を受け、事業の元手を集めます。簿記では、この取引を、会社が資産を受け入れ、その見返りとして資本金が増えた取引としてとらえます。
男性講師個人商店の元入とは分けて考えるんですね。
女性講師そのとおりです。本講で大切なのは、設立時に受け入れた払込額を、会社の資本金として記録する点です。設立後の増資や配当などは扱わず、この基本形だけを確実にします。
男性講師まずは設立時の払込額に集中すればいいわけですね。
女性講師中心概念は、払込額と資本金の関係です。出資者が会社に払い込んだ金額を払込額といいます。会社設立時には、この払込額が会社の元手となるため、貸方に資本金を記入します。この基本論点では、払込額と資本金は同額です。
男性講師金額は株数だけでなく、1株あたりも見るんですよね。
女性講師はい。まず株数と1株あたりの払込額から合計額を求めます。たとえば、1株あたりの払込額が2,000円で100株なら、払込額は200,000円です。この合計額を資本金として記録する、ここが出発点です。
男性講師用語は意味を短く区別して覚えるとよさそうですか。
女性講師はい。株式会社は、株式を発行して出資を受け、事業を行う会社の形態です。株式発行は、会社が株式を出して、出資者から払込みを受けることです。
男性講師払込額は、実際に払い込まれた金額のことですね。
女性講師そのとおりです。資本金は会社設立時などに株主から受け入れた出資を表す純資産の勘定科目です。当座預金は、会社が銀行に預けている預金の一種で、払込みの受入先として用いられることがあります。
男性講師入金先が現金か当座預金かで、借方科目を選ぶんですね。
女性講師基本ルールは4つです。第1に、株式発行による会社設立時は、受け入れた払込額を資本金で処理します。第2に、受け入れた資産の勘定科目は、問題文で示された入金先に合わせて選びます。
男性講師形としては、借方が受け入れた資産、貸方が資本金ですね。
女性講師例題1です。『現金で払い込みを受けた設立』を確認します。株式会社を設立し、株式100株を発行した。1株あたりの払込額は3,000円で、全額を現金で受け入れた。設立時の仕訳を示しなさい。
男性講師どの事実を確認し、どのように答えればよいですか。
女性講師払込額は 100株 × 3,000円 = 300,000円です。現金を受け入れているため、資産の増加として借方に現金300,000円を記入します。設立時の払込額は資本金になるため、貸方に資本金300,000円を記入します。 答えは、(借)現金 300,000 / (貸)資本金 300,000 借方300,000円、貸方300,000円で一致しています。払込額の合計も300,000円で、資本金の金額と一致しています。
男性講師次は例題2です。『当座預金に払い込みを受けた設立』を確認します。株式会社を設立し、株式250株を発行した。1株あたりの払込額は2,400円で、払込金は当座預金口座に預け入れられた。設立時の仕訳を示しなさい。
女性講師払込額は 250株 × 2,400円 = 600,000円です。入金先が当座預金口座なので、借方は当座預金になります。会社設立時に株式発行で受け入れた金額は資本金として処理するため、貸方は資本金600,000円です。 答えは、(借)当座預金 600,000 / (貸)資本金 600,000 250×2,400=600,000と計算できています。借方の当座預金と貸方の資本金が同額なので、仕訳は正しくつり合っています。
男性講師最後に例題3です。『株数が多い場合の基本仕訳』を確認します。株式会社を設立し、株式800株を発行した。1株あたりの払込額は1,250円で、払込金は現金で受け入れた。設立時の仕訳を示しなさい。
女性講師払込額は 800株 × 1,250円 = 1,000,000円です。受け入れたのは現金なので、借方は現金1,000,000円です。同額だけ会社の元手が増えるため、貸方は資本金1,000,000円になります。 答えは、(借)現金 1,000,000 / (貸)資本金 1,000,000
男性講師検算は、800×1,250=1,000,000で計算は正しいです。借方・貸方ともに1,000,000円で一致し、設立時の基本処理に合っています。 ここまでの三題を、結論だけでなく判断理由まで説明できるようにします。
女性講師よくある誤りを確認します。払込額を収益のように考えてしまい、資本金を使わない。 現金や当座預金の増加を貸方に書いてしまう。 株数だけを見て、1株あたりの払込額を掛け忘れる。 借方と貸方の金額が一致しているか確認しない。 設立時の基本論点なのに、範囲外の別勘定を使ってしまう。
男性講師まとめると、株式会社の設立時に受け入れた払込額は資本金として記録する。 払込みを受けた資産が増えるので、借方に現金または当座預金を記入する。 資本金は純資産の増加なので、貸方に記入する。 仕訳金額は払込額の合計と一致しているか確認する。
この講の確認問題
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