増資と資本金
この講義では、株式会社が増資のために新株を発行し、払込を受けたときの基本的な仕訳を学びます。払込額のうち資本金にする金額の考え方と、資本準備金を用いる基本処理を、日商簿記3級の公式範囲にしぼって確認します。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
増資による株式発行と払込額の処理を仕訳できる。
- 新株発行時の取引の流れを説明できる。
- 払込額を資本金と資本準備金に分ける見方を理解できる。
- 増資の仕訳で使う勘定科目を正しく選べる。
前提知識
- 株式会社の資本金の基本的な意味を理解している。
- 借方・貸方の基本ルールを理解している。
- 現金または当座預金の増加を借方に記入できる。
ひとつ前の講:株式会社の設立と資本金
要点
- 増資で払込を受けたときは、受け取った資産を借方に記入する。
- 払込額のうち資本金にする部分は貸方に資本金で記入する。
- 払込額のうち資本金にしない部分は貸方に資本準備金で記入する。
- 払込額の合計と、資本金・資本準備金の合計は必ず一致する。
- 問題文で全額を資本金とするのか、一部を資本準備金とするのかを確認する。
判断のルール
- 新株発行で払込を受けたときは、借方は現金または当座預金などの受入科目を用いる。
- 払込額の2分の1を超えない範囲で資本準備金とすることがあるため、問題文の指示に従って仕訳する。
- 資本金にする額が示されていないときは、問題文の条件をよく読み、指定された処理をそのまま用いる。
- 貸方の合計は、受け取った払込額の総額と一致させる。
例題
例題1例題1 全額を資本金とする増資
株式会社が新株200株を1株あたり500円で発行し、払込金は現金で受け取り、その全額を資本金とした。仕訳を示しなさい。
答え(借)現金 100,000 /(貸)資本金 100,000
考え方払込総額は200株×500円=100,000円です。現金を受け取っているので借方は現金100,000円です。全額を資本金とする条件なので、貸方は資本金100,000円となります。
確かめ借方100,000円、貸方100,000円で一致しています。払込額の全額を資本金にしているので条件にも合っています。
例題2例題2 払込額の2分の1を資本金とする増資
株式会社が新株300株を1株あたり800円で発行し、払込金は当座預金に預け入れられた。払込額の2分の1を資本金とし、残額は資本準備金とする。仕訳を示しなさい。
答え(借)当座預金 240,000 /(貸)資本金 120,000 /(貸)資本準備金 120,000
考え方払込総額は300株×800円=240,000円です。受け取った資産は当座預金なので借方は当座預金240,000円です。払込額の2分の1を資本金とするので、資本金は120,000円、残り120,000円は資本準備金です。
確かめ貸方の合計は120,000円+120,000円=240,000円で、借方の当座預金240,000円と一致しています。資本金と資本準備金の振り分けも正しいです。
例題3例題3 資本金の指定額がある増資
株式会社が新株500株を1株あたり600円で発行し、払込金300,000円を現金で受け取った。このうち180,000円を資本金とし、残額を資本準備金とする。仕訳を示しなさい。
答え(借)現金 300,000 /(貸)資本金 180,000 /(貸)資本準備金 120,000
考え方払込総額は500株×600円=300,000円です。問題文でも払込金300,000円と確認できます。借方は受け取った現金300,000円です。貸方は指定された資本金180,000円、残額300,000円-180,000円=120,000円を資本準備金とします。
確かめ借方300,000円、貸方は180,000円+120,000円=300,000円で一致しています。指定された資本金額を使い、残額を正しく資本準備金にできています。
よくある間違い
払込額の全額を資本金にしてしまい、資本準備金に分ける指示を見落とす。
借方を資本金、貸方を現金と逆にしてしまう。
株式数だけを見て、1株あたりの払込額を掛ける計算を忘れる。
資本金と資本準備金の合計が払込総額と一致しているか確認しない。
この講の用語
- 増資ぞうし
- 株式会社が新たに株式を発行するなどして、会社に払い込みを受け、資本を増やすことです。
- 資本金しほんきん
- 株主から払い込みを受けた額のうち、資本金として計上する金額です。
- 資本準備金しほんじゅんびきん
- 株主からの払込額のうち、資本金に組み入れなかった部分を計上する勘定科目です。
- 払込額はらいこみがく
- 新株の発行によって株主から会社に払い込まれる金額です。
章立て
- 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
- 0:18中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
- 0:57重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
- 1:33基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
- 1:59判断手順問題を解くときの順番を確認します。
- 2:23例題1基本的な取引を確認します。
- 2:42例題2別の条件で判断を確認します。
- 3:33例題3計算または応用の判断を確認します。
- 4:41よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
- 5:58まとめ重要事項を一枚で整理します。
この講の確認問題
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