利益剰余金・配当会員向け7:40

繰越利益剰余金

この講義では、株式会社における繰越利益剰余金とは何かを確認し、どのような場合に増減するのかを学びます。あわせて、決算時に当期純利益または当期純損失を繰越利益剰余金へ振り替える基本的な考え方と仕訳を、3級の公式範囲に沿って整理します。

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この講で分かるようになること

繰越利益剰余金の増減と決算時の純損益振替を説明できる。

  • 繰越利益剰余金が利益の蓄積を表す勘定であると説明できる。
  • 当期純利益と当期純損失で振替仕訳の向きが変わることを区別できる。
  • 増加要因と減少要因を簡潔に整理できる。

前提知識

  • 損益勘定を使って収益と費用を集計し、当期純利益または当期純損失を求める基本
  • 借方・貸方の基本的な意味
  • 決算整理後に行う決算振替仕訳の考え方

要点

  1. 繰越利益剰余金は、会社に蓄積された利益のうち翌期へ繰り越される部分を表す。
  2. 決算で当期純利益が生じたとき、繰越利益剰余金は増加する。
  3. 決算で当期純損失が生じたとき、繰越利益剰余金は減少する。
  4. 純損益の振替では、当期純利益と当期純損失で借方・貸方の向きが逆になる。

判断のルール

  • 当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替えるときは、損益を借方、繰越利益剰余金を貸方に記入する。
  • 当期純損失を繰越利益剰余金へ振り替えるときは、繰越利益剰余金を借方、損益を貸方に記入する。
  • 繰越利益剰余金の増加は貸方、減少は借方で表す。
  • 本講では、決算時の純損益振替だけを扱い、その先の処分の詳細には進まない。

例題

例題1例題1 当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替える

決算の結果、損益勘定の貸方残高が40,000円であり、当期純利益が40,000円と判明した。繰越利益剰余金へ振り替える仕訳を示しなさい。

答え借方:損益 40,000円/貸方:繰越利益剰余金 40,000円

考え方当期純利益が生じたときは、繰越利益剰余金が増加します。繰越利益剰余金は純資産の勘定なので、増加は貸方です。したがって、相手科目の損益を借方にして、損益勘定を締め切ります。

確かめ借方40,000円、貸方40,000円で一致しています。利益なので繰越利益剰余金が貸方になっており、向きも正しいです。

例題2例題2 当期純損失を繰越利益剰余金へ振り替える

決算の結果、損益勘定の借方残高が18,000円であり、当期純損失が18,000円と判明した。繰越利益剰余金へ振り替える仕訳を示しなさい。

答え借方:繰越利益剰余金 18,000円/貸方:損益 18,000円

考え方当期純損失が生じたときは、繰越利益剰余金が減少します。繰越利益剰余金は純資産の勘定なので、減少は借方です。よって、繰越利益剰余金を借方に記入し、相手科目の損益を貸方にして締め切ります。

確かめ借方18,000円、貸方18,000円で一致しています。損失なので繰越利益剰余金が借方になっており、利益の場合と逆になっていることを確認できます。

例題3例題3 増減の判定と仕訳を同時に考える

決算時に損益勘定を集計したところ、収益合計95,000円、費用合計72,000円であった。繰越利益剰余金は増加か減少かを答え、必要な振替仕訳を示しなさい。

答え繰越利益剰余金は増加する。仕訳は、借方:損益 23,000円/貸方:繰越利益剰余金 23,000円

考え方当期純利益は、収益95,000円から費用72,000円を差し引いて23,000円です。利益が出ているので、繰越利益剰余金は増加します。純資産の増加は貸方なので、繰越利益剰余金を貸方23,000円、相手の損益を借方23,000円とします。

確かめ95,000円-72,000円=23,000円で計算は正しいです。借方と貸方も23,000円で一致しています。利益のため、繰越利益剰余金が貸方になっている点も確認できます。

よくある間違い

当期純利益の振替で、繰越利益剰余金を借方にしてしまう。

当期純損失の振替で、利益の場合と同じ向きの仕訳を書いてしまう。

損益勘定の残高が利益か損失かを確認せずに仕訳する。

繰越利益剰余金の増加・減少を資産の感覚で覚えてしまい、貸方増加・借方減少を取り違える。

この講の用語

繰越利益剰余金くりこしりえきじょうよきん
会社に残された利益剰余金のうち、次期以後へ繰り越される金額を表す勘定。純利益で増加し、純損失で減少する。
利益剰余金りえきじょうよきん
会社がこれまでに得た利益の蓄積を表す純資産の区分。3級ではその中の繰越利益剰余金の基本を押さえる。
当期純利益とうきじゅんりえき
一会計期間の収益から費用を差し引いた結果として生じる利益。決算時に繰越利益剰余金へ振り替える。
当期純損失とうきじゅんそんしつ
一会計期間の費用が収益を上回った結果として生じる損失。決算時に繰越利益剰余金を減少させる。
損益そんえき
決算時に収益と費用を集計し、当期純利益または当期純損失を示すために用いる勘定。最終的に繰越利益剰余金へ振り替える。

章立て

  1. 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
  2. 0:23中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
  3. 1:10重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
  4. 1:49基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
  5. 2:15判断手順問題を解くときの順番を確認します。
  6. 2:50例題1基本的な取引を確認します。
  7. 3:16例題2別の条件で判断を確認します。
  8. 4:17例題3計算または応用の判断を確認します。
  9. 5:20よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
  10. 6:42まとめ重要事項を一枚で整理します。

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