剰余金の配当
この講義では、株式会社が剰余金の配当を行うときの基本仕訳を学びます。対象は、配当を決議した時点と、実際に支払った時点の処理だけです。繰越利益剰余金をどのように減らし、未払配当金をどのように計上し、支払時にどのように消し込むかを、仕訳の形で確実に書けるようにします。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
剰余金配当の決議時と支払時の基本仕訳を作れる。
- 配当の流れを決議時と支払時に分けて説明できる。
- 未払配当金の意味を理解できる。
- 配当額と仕訳金額が一致しているか確認できる。
前提知識
- 繰越利益剰余金の意味
- 株式会社の純資産の基本
- 負債勘定の増減と仕訳の書き方
ひとつ前の講:繰越利益剰余金
要点
- 配当の決議時は、繰越利益剰余金を減らし、未払配当金を計上する。
- 配当の支払時は、未払配当金を減らし、現金を減らす。
- 決議時と支払時で使う勘定科目が変わる点を区別する。
- 同じ配当額が、決議時と支払時で対応しているか確認する。
判断のルール
- 決議時の基本仕訳は、借方が繰越利益剰余金、貸方が未払配当金である。
- 支払時の基本仕訳は、借方が未払配当金、貸方が現金である。
- 未払配当金は、決議したがまだ支払っていない配当を表す。
- 配当額は、決議時と支払時で同額になるのが基本である。
例題
例題1例題1 決議時の仕訳
株式会社が剰余金の配当として120,000円を行うことを決議した。決議時の仕訳を答えなさい。
答え(借)繰越利益剰余金 120,000 / (貸)未払配当金 120,000
考え方配当を決議すると、会社内部に残る利益である繰越利益剰余金が減少します。また、まだ支払っていないため、支払義務として未払配当金を計上します。したがって、借方は繰越利益剰余金120,000円、貸方は未払配当金120,000円です。
確かめ借方合計120,000円、貸方合計120,000円で一致しています。決議時なので現金はまだ使いません。
例題2例題2 支払時の仕訳
前期に決議して未払配当金として計上していた80,000円を、当期に現金で支払った。支払時の仕訳を答えなさい。
答え(借)未払配当金 80,000 / (貸)現金 80,000
考え方すでに決議時に配当の処理は済んでいるため、支払時には未払になっていた配当金を消し込みます。未払配当金は負債なので、なくなるときは借方です。現金は支払によって減少するため貸方になります。
確かめ借方合計80,000円、貸方合計80,000円で一致しています。支払時に繰越利益剰余金を使っていない点も正しいです。
例題3例題3 決議時と支払時を連続で考える
株式会社が剰余金の配当として300,000円を決議し、その後、全額を現金で支払った。決議時と支払時の仕訳をそれぞれ答えなさい。
答え決議時:(借)繰越利益剰余金 300,000 / (貸)未払配当金 300,000 支払時:(借)未払配当金 300,000 / (貸)現金 300,000
考え方まず決議時には、利益剰余金のうち配当に回す金額が確定するので、繰越利益剰余金を減らし、未払配当金を計上します。次に支払時には、その未払配当金を消し込み、現金を支払います。同じ300,000円が2段階でつながっていることが重要です。
確かめ決議時は借方300,000円と貸方300,000円で一致、支払時も借方300,000円と貸方300,000円で一致しています。未払配当金は決議時に増え、支払時に同額だけ減っているため流れも正しいです。
よくある間違い
決議時にいきなり現金を貸方にしてしまう。
支払時にも繰越利益剰余金を使ってしまう。
未払配当金を資産のように考えて借方・貸方を逆にしてしまう。
決議時と支払時の金額が一致しているか確認しない。
配当の基本仕訳なのに、範囲外の勘定科目を混ぜてしまう。
この講の用語
- 剰余金の配当じょうよきんのはいとう
- 株式会社が利益剰余金をもとに株主へ分配することです。3級では、決議時と支払時の基本仕訳を学びます。
- 繰越利益剰余金くりこしりえきじょうよきん
- これまでの利益のうち、会社内部に残っている部分を表す純資産の勘定です。配当を決議すると減少します。
- 未払配当金みばらいはいとうきん
- 配当を決議したが、まだ支払っていない金額を表す勘定です。支払うまでは負債として扱います。
- 決議時けつぎじ
- 配当を行うことを正式に決めた時点です。この時点で支払い前でも仕訳を行います。
- 支払時しはらいじ
- 実際に配当金を株主へ渡した時点です。未払配当金を消し込み、現金を減らします。
章立て
- 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
- 0:24中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
- 1:11重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
- 1:57基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
- 2:28判断手順問題を解くときの順番を確認します。
- 3:05例題1基本的な取引を確認します。
- 3:35例題2別の条件で判断を確認します。
- 4:30例題3計算または応用の判断を確認します。
- 5:18よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
- 6:38まとめ重要事項を一枚で整理します。
この講の確認問題
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