決算整理会員向け8:10

貸倒見積りの決算整理

売上債権の残高に設定率をかけて貸倒引当金の必要額を見積もり、帳簿にある貸倒引当金残高との差額を決算整理仕訳で処理する方法を学びます。差額が不足か戻入れかを落ち着いて判定し、借方・貸方を正しく書けるようにします。

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この講で分かるようになること

売上債権残高と設定率から貸倒引当金を見積もり、差額を仕訳できる。

  • 売上債権に含める勘定科目を確認できる。
  • 貸倒引当金の必要額と差額を順に計算できる。
  • 不足額と戻入額で仕訳の向きが変わることを説明できる。

前提知識

  • 売掛金と受取手形などの売上債権の意味
  • 決算整理前残高試算表の見方
  • 借方・貸方の基本

要点

  1. まず売上債権残高に設定率をかけて、決算日に必要な貸倒引当金額を求める。
  2. 次に、帳簿に残っている貸倒引当金残高と比べて差額を出す。
  3. 必要額が現在残高より多ければ不足額を追加設定する。
  4. 必要額が現在残高より少なければ余分な分を戻し入れる。
  5. 仕訳は差額だけを記入し、必要額そのものをそのまま仕訳しない。

判断のルール

  • 売上債権残高には、問題文で示された売掛金や受取手形など、対象として指定されたものを合計する。
  • 必要額 = 売上債権残高 × 設定率 で計算する。
  • 差額 = 必要額 と 既存の貸倒引当金残高との差で判断する。
  • 不足額を設定する仕訳は、借方に貸倒引当金繰入、貸方に貸倒引当金を記入する。
  • 戻入れになる場合は、借方に貸倒引当金、貸方に貸倒引当金戻入を記入する。

例題

例題1例題1 不足額を追加設定する基本例

決算整理前残高試算表には、売掛金300,000円、受取手形200,000円、貸倒引当金4,000円が計上されている。売上債権に対して2%の貸倒れを見積もる。決算整理仕訳を示しなさい。

答え(借)貸倒引当金繰入 6,000円 / (貸)貸倒引当金 6,000円

考え方売上債権残高は、売掛金300,000円+受取手形200,000円=500,000円。必要な貸倒引当金は500,000円×2%=10,000円。すでに貸倒引当金が4,000円あるので、不足額は10,000円-4,000円=6,000円。不足分を追加設定するため、借方は貸倒引当金繰入、貸方は貸倒引当金となる。

確かめ仕訳後の貸倒引当金残高は、4,000円+6,000円=10,000円となり、必要額と一致する。借方・貸方の金額もともに6,000円で一致している。

例題2例題2 すでに多く計上されているので戻入れる例

決算整理前残高試算表には、売掛金180,000円、受取手形120,000円、貸倒引当金9,000円が計上されている。売上債権に対して2%の貸倒れを見積もる。決算整理仕訳を示しなさい。

答え(借)貸倒引当金 3,000円 / (貸)貸倒引当金戻入 3,000円

考え方売上債権残高は180,000円+120,000円=300,000円。必要な貸倒引当金は300,000円×2%=6,000円。すでに9,000円あるので、9,000円-6,000円=3,000円だけ多く計上されている。したがって、余分な3,000円を戻し入れる仕訳を行う。

確かめ仕訳後の貸倒引当金残高は、9,000円-3,000円=6,000円となり、必要額と一致する。戻入れなので、貸方が貸倒引当金戻入になっていることも確認する。

例題3例題3 売掛金だけでなく受取手形も含める確認例

決算整理前残高試算表には、売掛金420,000円、受取手形80,000円、貸倒引当金6,500円が計上されている。売上債権に対して1.5%の貸倒れを見積もる。決算整理仕訳を示しなさい。

答え(借)貸倒引当金繰入 1,000円 / (貸)貸倒引当金 1,000円

考え方売上債権残高は420,000円+80,000円=500,000円。必要な貸倒引当金は500,000円×1.5%=7,500円。すでに6,500円あるので、不足額は7,500円-6,500円=1,000円。よって、不足分を追加設定する仕訳を行う。

確かめ仕訳後の貸倒引当金残高は、6,500円+1,000円=7,500円となり、必要額に一致する。受取手形80,000円を合計に入れているかもあわせて確認する。

よくある間違い

売上債権残高に設定率をかけず、差額だけを見て仕訳してしまう。

必要額と既存残高の区別があいまいで、必要額全体を仕訳してしまう。

不足の場合と戻入れの場合で、借方・貸方を逆にしてしまう。

売掛金だけを見て、問題文にある受取手形を合計に入れ忘れる。

設定率を百分率のまま扱えず、2%を2として計算してしまう。

この講の用語

売上債権うりあげさいけん
商品や製品を売ったことなどにより受け取る権利です。3級では主に売掛金や受取手形が代表例です。
貸倒引当金かしだおれひきあてきん
将来、売上債権の一部が回収できなくなる見込みに備えて、あらかじめ見積もって計上する金額です。
設定率せっていりつ
売上債権残高に対して、貸倒れの見込みを見積もるためにかける割合です。
貸倒引当金繰入かしだおれひきあてきんくりいれ
貸倒引当金が不足しているときに、その不足額を費用として計上する勘定科目です。
貸倒引当金戻入かしだおれひきあてきんもどしいれ
貸倒引当金が多すぎるときに、余分な額を取り崩して収益として戻す勘定科目です。

章立て

  1. 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
  2. 0:22中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
  3. 1:06重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
  4. 1:43基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
  5. 2:19判断手順問題を解くときの順番を確認します。
  6. 2:50例題1基本的な取引を確認します。
  7. 3:12例題2別の条件で判断を確認します。
  8. 4:32例題3計算または応用の判断を確認します。
  9. 5:44よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
  10. 7:05まとめ重要事項を一枚で整理します。

この講の確認問題

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