決算整理会員向け7:21

月次決算の簡易処理

この講義では、月次決算で毎月すでに処理している項目について、年次決算で重複して計上しないための考え方と整理方法を学びます。月次で費用や収益の見越し・繰延などを行っている場合でも、年次決算では残っている未処理部分だけを確認して整理することが大切です。ここでは、月次処理済みの項目を年次決算で二重に計上しないという到達目標にしぼって説明します。

月次決算の簡易処理の表紙動画の視聴は会員向けです

この講で分かるようになること

月次で処理済みの項目を年次決算で重複計上せず整理できる。

  • 月次決算と年次決算の役割の違いを説明できる。
  • 重複計上が起こる理由を把握できる。
  • 年次決算で確認すべき視点を整理できる。

前提知識

  • 前払費用・未払費用の基本的な意味
  • 前受収益・未収収益の基本的な意味
  • 決算整理仕訳の基本的な書き方

要点

  1. 月次決算で処理済みの金額は、年次決算で再度そのまま計上しない。
  2. 年次決算では、月次処理後の残りや不足があるかを確認する。
  3. 帳簿にすでに反映された金額と、年末時点で必要な金額を区別する。
  4. 重複計上を防ぐため、月次処理の累計を意識して確認する。

判断のルール

  • 年次決算では、月次決算で処理済みの部分を差し引いて考える。
  • 必要額の全体を計算したうえで、すでに処理した累計額を確認する。
  • 追加で必要な金額があるときだけ決算整理仕訳を行う。
  • すでに必要額どおり処理されている場合は、年次決算で仕訳しない。

例題

例題1例題1 未払費用を月次で計上している場合

毎月末に未払費用1,000円を計上している。年末に確認すると、当年分として必要な未払費用の総額は12,000円であった。年次決算で必要な仕訳を答えなさい。

答え年次決算で仕訳は不要。

考え方月次決算で毎月1,000円ずつ計上しているので、1年分の処理済み額は1,000円×12か月=12,000円です。年末に必要な総額も12,000円なので、すでに必要額どおり計上済みです。したがって、年次決算で同じ金額をもう一度計上すると重複計上になるため、追加仕訳は行いません。

確かめ必要総額12,000円-処理済み額12,000円=追加必要額0円。差額が0円なので仕訳なしで正しい。

例題2例題2 前払費用の月次処理が不足している場合

保険料について、毎月末に前払費用500円を計上してきた。年末に確認すると、期末に前払費用として残すべき金額は6,500円であった。年次決算で必要な仕訳を答えなさい。

答え(借)前払費用 500 / (貸)保険料 500

考え方月次決算で処理済みの前払費用は、500円×12か月=6,000円です。しかし、年末に必要な前払費用は6,500円なので、500円不足しています。したがって、不足分だけを追加で計上します。前払費用を増やし、当期の費用である保険料を減らすため、借方が前払費用、貸方が保険料になります。

確かめ必要総額6,500円-処理済み額6,000円=追加必要額500円。仕訳後の前払費用は6,500円となり一致する。

例題3例題3 前受収益を月次で計上している場合

毎月末に前受収益2,000円を計上している。年末に確認すると、期末に前受収益としてあるべき金額は24,000円であった。年次決算で必要な仕訳を答えなさい。

答え年次決算で仕訳は不要。

考え方月次決算での処理済み額は、2,000円×12か月=24,000円です。年末に必要な前受収益も24,000円なので、すでに帳簿に正しく反映されています。したがって、年次決算でさらに前受収益を計上すると二重計上となるため、追加仕訳は不要です。

確かめ必要総額24,000円-処理済み額24,000円=0円。追加処理なしが正しい。

よくある間違い

年末に必要な全額をそのまま仕訳し、月次で処理した分を無視してしまう。

月次処理の累計額を確認せず、感覚で追加仕訳をしてしまう。

月次で処理済みなので年次決算では何も見なくてよいと考えてしまう。

追加で必要な金額と、期末時点の必要総額を混同してしまう。

この講の用語

月次決算げつじけっさん
毎月の一定時点で収益や費用などを整理し、当月の成績や財産の状況を把握するための締切処理です。
年次決算ねんじけっさん
1年間の最後に行う正式な決算で、決算整理を行って当期の収益・費用や期末の資産・負債を確定する手続です。
重複計上ちょうふくけいじょう
同じ内容の金額を二重に記録してしまうことです。月次と年次の両方で同じ処理をすると起こります。
決算整理仕訳けっさんせいりしわけ
決算時に、収益や費用の期間配分、資産や負債の整理などを行うための仕訳です。
処理済み額しょりずみがく
月次決算などで、すでに帳簿に反映されている金額です。年次決算ではこの金額を確認して重複を防ぎます。

章立て

  1. 0:00導入この知識ポイントで判断できるようになることを確認します。
  2. 0:23中心概念取引の意味と基本的な考え方を整理します。
  3. 1:09重要用語問題文で意味を取り違えやすい用語を確認します。
  4. 1:50基本ルール仕訳や計算で使う規則を整理します。
  5. 2:12判断手順問題を解くときの順番を確認します。
  6. 2:50例題1基本的な取引を確認します。
  7. 3:17例題2別の条件で判断を確認します。
  8. 4:22例題3計算または応用の判断を確認します。
  9. 5:28よくある誤り誤りやすい考え方を修正します。
  10. 6:31まとめ重要事項を一枚で整理します。

この講の確認問題

日商簿記3級の学習を続ける

講義・過去問・暗記カード・模試まで、同じ論点でつながっています。

登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。

「決算整理」の他の講

日商簿記3級の講義一覧をすべて見る