現金過不足の原因判明と決算処理
現金過不足について、原因があとでわかったときの仕訳と、決算時まで原因がわからないときの処理を区別して学びます。現金過不足勘定の意味、原因判明時の振替、決算整理での処理を、仕訳の流れにそって整理します。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
現金過不足の原因判明時と決算時の仕訳を区別できる。
- 現金過不足勘定の役割を説明できる
- 原因判明前と原因判明後の仕訳の違いを整理できる
- 決算時に残った現金過不足の処理を落ち着いて行える
前提知識
- 現金実査と帳簿残高の照合ができる
- 現金過不足が発生したときの基本的な記帳を理解している
- 費用と収益の基本的な勘定科目を使って仕訳できる
ひとつ前の講:現金過不足の発生時処理
要点
- 現金実際有高と帳簿残高が一致しないときは、いったん現金過不足勘定を使う
- 原因が判明したら、現金過不足を適切な費用・収益などの勘定へ振り替える
- 決算時まで原因不明の残額は、雑損または雑益として処理する
- 原因判明時と決算時では、使う勘定科目と判断のしかたが異なる
判断のルール
- 帳簿残高より実際有高が少ないときは、現金を減らし、現金過不足を借方に記入する
- 帳簿残高より実際有高が多いときは、現金を増やし、現金過不足を貸方に記入する
- 原因判明時は、現金過不足勘定を消して、原因となる勘定科目に振り替える
- 決算時に原因不明の借方残高は雑損、貸方残高は雑益で処理する
例題
例題1例題1 不足が見つかり、その後に消耗品費の記入もれと判明した場合
現金実査の結果、帳簿残高15,000円に対して実際有高は13,800円であったため、差額1,200円を現金過不足として処理した。その後、この1,200円は消耗品を購入した際の記入もれであることが判明した。原因判明時の仕訳を示しなさい。
答え(借)消耗品費 1,200 /(貸)現金過不足 1,200
考え方最初の不足発生時には、現金を1,200円減らし、相手に現金過不足を借方計上しているため、現金過不足には借方残高1,200円が残っています。原因が消耗品の購入であると判明したので、本来は費用である消耗品費として処理します。したがって、消耗品費を借方、現金過不足を貸方として振り替えます。
確かめ原因判明時の仕訳では現金は動かしません。現金過不足の借方1,200円を貸方1,200円で消し、費用の消耗品費が正しく計上されています。借方合計と貸方合計はいずれも1,200円で一致します。
例題2例題2 超過が見つかり、その後に受取手数料の記入もれと判明した場合
現金実査の結果、帳簿残高22,400円に対して実際有高は23,000円であったため、差額600円を現金過不足として処理した。その後、この600円は受け取っていた手数料の記入もれであることが判明した。原因判明時の仕訳を示しなさい。
答え(借)現金過不足 600 /(貸)受取手数料 600
考え方最初の超過発生時には、現金を600円増やし、相手に現金過不足を貸方計上しているため、現金過不足には貸方残高600円が残っています。原因は手数料の受取りであり、収益として処理すべきです。そこで、現金過不足を借方にして消し、受取手数料を貸方に計上します。
確かめ原因判明時は、超過として残っていた現金過不足の貸方600円を、借方600円で消しています。収益である受取手数料が貸方に計上され、借方・貸方とも600円で一致しています。
例題3例題3 決算時まで原因がわからない不足の処理
期中に現金の不足900円を現金過不足として処理していたが、決算日になっても原因は判明しなかった。決算時の仕訳を示しなさい。
答え(借)雑損 900 /(貸)現金過不足 900
考え方不足が生じたとき、現金過不足は借方に記入されます。今回は決算日まで原因不明なので、一時的な現金過不足を残したままにできません。借方に残っている不足分は費用として雑損へ振り替えるため、雑損を借方、現金過不足を貸方とします。
確かめ決算時の処理なので、原因判明時のように具体的な費用科目や収益科目は使いません。不足額900円は雑損に振り替えられ、現金過不足は消えます。借方・貸方とも900円で一致しています。
よくある間違い
実際有高が少ないのに、現金過不足を貸方にしてしまう
原因判明後も現金過不足勘定を残したままにしてしまう
決算時の不足を雑益、超過を雑損として逆にしてしまう
原因が判明しているのに、決算時の雑損・雑益で処理してしまう
この講の用語
- 現金過不足げんきんかぶそく
- 現金の帳簿残高と実際有高が一致しないときに、その差額を一時的に処理するための勘定科目です。
- 原因判明げんいんはんめい
- 現金過不足が生じた理由があとでわかることです。適切な勘定科目へ振り替える必要があります。
- 雑損ざっそん
- 決算時まで原因がわからない現金の不足額を処理する費用の勘定科目です。
- 雑益ざつえき
- 決算時まで原因がわからない現金の超過額を処理する収益の勘定科目です。
章立て
- 0:00導入表紙。親しみやすい日本人女性講師と男性講師が登場し、講義タイトルと到達目標を示す。
- 0:20中心概念導入概念。現金過不足の意味と一時的な勘定である点、先に差額を整理して後で原因を確定する流れを図解する。
- 0:57重要用語中心概念。差額発生時、原因判明時、決算時の三場面を時系列で整理し、原因判明時は現金を再度動かさないことを強調する。
- 1:37基本ルール重要用語。現金過不足、原因判明、雑損、雑益を短いラベルで整理する。
- 1:55判断手順基本ルール。不足と超過の向き、原因判明時の振替、決算時の雑損・雑益を矢印で整理する。
- 2:19判断の確認判断手順。場面確認から現金の増減、最後の振替先までを順番に示す。
- 2:45例題1 例題1 不足が見つかり、その後に消耗品費の記入もれと判明した場合例題1。不足1,200円が消耗品費の記入もれと判明した場合の計算と仕訳を示す。
- 4:16例題2 例題2 超過が見つかり、その後に受取手数料の記入もれと判明した場合例題2。超過600円が受取手数料の記入もれと判明した場合の計算と仕訳を示す。
- 5:35例題3 例題3 決算時まで原因がわからない不足の処理例題3。決算日まで原因不明の不足900円を雑損へ振り替える処理を示す。
- 6:44よくある誤りとまとめよくある誤りとまとめ。不足と超過の向き、原因判明後の処理、雑損・雑益の使い分けを再確認する。
この講の確認問題
登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。
